巻第十一「恋歌 一」の和歌を一覧にまとめました。
巻第十一|恋歌 一の和歌一覧
| 990 | よそにのみ見てやゝみなんかつらきやたかまの山のみねの白雲 |
| 991 | をとにのみありときゝこしみよしのゝ瀧はけふこそ袖におちけれ |
| 992 | あしひきの山田もるいほにをくか火のしたこかれつゝわかこふらくは |
| 993 | いその神ふるのわさ田のほにはいてす心のうちにこひやわたらん |
| 994 | かすか野のわかむらさきのすり衣しのふのみたれかきりしられす |
| 995 | むらさきの色にこゝろはあらねともふかくそ人をおもひそめつる |
| 996 | みかのはらわきてなかるゝいつみかはいつみきとてかこひしかるらん |
| 997 | そのはらやふせやにおふるはゝきゝのありとは見えてあはぬきみかな |
| 998 | としをへておもふ心のしるしにそそらもたよりの風はふきける |
| 999 | とし月はわか身にそへてすきぬれと思ふこゝろのゆかすもあるかな |
| 1000 | もろともにあはれといはす人しれぬとはすかたりをわれのみやせん |
| 1001 | 人つてにしらせてしかなかくれぬのみこもりにのみこひやわたらん |
| 1002 | みこもりのぬまのいはかきつゝめともいかなるひまにぬるゝたもとそ |
| 1003 | から衣袖に人めはつゝめともこほるゝものは涙なりけり |
| 1004 | あまつそらとよのあかりに見し人のなをおもかけのしひてこひしき |
| 1005 | あらたまのとしにまかせて見るよりはわれこそこえめあふさかの関 |
| 1006 | わかやとはそこともなにかをしふへきいはてこそ見めたつねけりやと |
| 1007 | わかおもひそらのけふりとなりぬれは雲井なからもなをたつねてん |
| 1008 | しるしなきけふりを雲にまかへつゝ夜をへてふしの山ともえなん |
| 1009 | けふりたつおもひならねと人しれすわひてはふしのねをのみそなく |
| 1010 | 風ふけはむろのやしまのゆふけふり心のそらにたちにけるかな |
| 1011 | 白雲のみねにしもなとかよふらんおなしみかさの山のふもとを |
| 1012 | けふもまたかくやいふきのさしもくささらはわれのみもえやわたらん |
| 1013 | つくは山は山しけ山しけゝれとおもひいるにはさはらさりけり |
| 1014 | われならぬ人に心をつくは山したにかよはんみちたにやなき |
| 1015 | 人しれすおもふ心はあしひきの山した水のわきやかへらん |
| 1016 | にほふらんかすみのうちの桜花おもひやりてもおしき春かな |
| 1017 | いくかへりさきちる花をなかめつゝものおもひくらす春にあふらん |
| 1018 | おく山のみねとひこゆるはつかりのはつかにたにも見てやゝみなん |
| 1019 | おほそらをわたる春日のかけなれやよそにのみしてのとけかるらん |
| 1020 | 春風のふくにもまさるなみたかなわかみなかみも氷とくらし |
| 1021 | 水のうへにうきたるとりのあともなくおほつかなさをおもふ比かな |
| 1022 | かたをかの雪まにねさすわか草のほのかに見てし人そこひしき |
| 1023 | あとをたに草のはつかに見てしかなむすふはかりのほとならすとも |
| 1024 | しものうへにあとふみつくるはまちとりゆくゑもなしとねをのみそなく |
| 1025 | 秋はきのえたもとをゝにをくつゆのけさきえぬとも色にいてめや |
| 1026 | あき風にみたれてものはおもへともはきのした葉のいろはかはらす |
| 1027 | わかこひもいまはいろにやいてなましのきのしのふもゝみちしにけり |
| 1028 | いその神ふるの神すきふりぬれといろにはいてすつゆも時雨も |
| 1029 | わかこひはまきのした葉にもるしくれぬるとも袖のいろにいてめや |
| 1030 | わかこひは松をしくれのそめかねてまくすかはらに風さはくなり |
| 1031 | うつせみのなくねやよそにもりのつゆほしあへぬ袖を人のとふまて |
| 1032 | おもひあれは袖にほたるをつゝみてもいはゝや物をとふ人はなし |
| 1033 | 思つゝへにけるとしのかひやなきたゝあらましのゆふくれの空 |
| 1034 | たまのをよたえなはたえねなからへはしのふることのよはりもそする |
| 1035 | わすれてはうちなけかるゝゆふへかなわれのみしりてすくる月日を |
| 1036 | わかこひはしる人もなしせくとこの涙もらすなつけのを枕 |
| 1037 | しのふるに心のひまはなけれともなをもる物はなみたなりけり |
| 1038 | つらけれとうらみんとはたおもほえすなをゆくさきをたのむ心に |
| 1039 | 雨もこそはたのまはもらめたのますはおもはぬ人と見てをやみなん |
| 1040 | 風ふけはとはになみこすいそなれやわか衣手のかはく時なき |
| 1041 | すまのあまのなみかけ衣よそにのみきくはわか身になりにけるかな |
| 1042 | ぬまことに袖そぬれぬるあやめくさ心にゝたるねをもとむとて |
| 1043 | ほとゝきすいつかとまちしあやめくさけふはいかなるねにかなくへき |
| 1044 | さみたれはそらおほれするほとゝきすときになくねは人もとかめす |
| 1045 | ほとゝきす声をきけと花のえにまたふみなれぬ物をこそおもへ |
| 1046 | ほとゝきすしのふるものをかしは木のもりても声のきこえける哉 |
| 1047 | こゝろのみそらになりつゝほとゝきす人たのめなるねこそなかるれ |
| 1048 | みくまのゝ浦よりをちにこく舟のわれをはよそにへたてつるかな |
| 1049 | なにはかたみしかきあしのふしのまもあはてこのよをすくしてよとや |
| 1050 | みかりするかりはのをのゝならしはのなれはまさらてこひそまされる |
| 1051 | うとはまのうとくのみやはよをはへんなみのよる/\あひ見てしかな |
| 1052 | あつまちのみちのはてなるひたちおひのかことはかりもあはんとそ思 |
| 1053 | にこりえのすまんことこそかたからめいかてほのかにかけをみせまし |
| 1054 | しくれふる冬のこの葉のかはかすそものおもふ人の袖はありける |
| 1055 | ありとのみをとにきゝつゝをとは河わたらは袖にかけもみえなん |
| 1056 | 水くきのをかの木の葉をふきかへしたれかは君をこひんと思し |
| 1057 | わか袖にあとふみつけよはまちとりあふことかたし見てもしのはん |
| 1058 | 冬のよのなみたにこほるわか袖の心とけすも見ゆるきみかな |
| 1059 | しも氷心もとけぬ冬のいけによふけてそなくをしの一声 |
| 1060 | なみたかは身もうくはかりなかるれときえぬは人の思なりけり |
| 1061 | いかにせんくめちのはしのなかそらにわたしもはてぬ身とやなりなん |
| 1062 | たれそこのみわのひはらもしらなくに心のすきのわれをたつぬる |
| 1063 | わかこひはいはぬはかりそなにはなるあしのしのやのしたにこそたけ |
| 1064 | わかこひはありそのうみの風をいたみしきりによするなみのまもなし |
| 1065 | すまのうらにあまのこりつむもしほ木のからくもしたにもえわたる哉 |
| 1066 | あるかひもなきさによする白浪のまなくものおもふわか身なりけり |
| 1067 | あしひきの山したゝきついはなみの心くたけて人そこひしき |
| 1068 | あしひきのやましたしけき夏草のふかくも君をおもふ比かな |
| 1069 | をしかふす夏野のくさのみちをなみしけきこひちにまとふ比かな |
| 1070 | かやり火のさよふけかたのしたこかれくるしやわか身人しれすのみ |
| 1071 | ゆらのとをわたるふな人かちをたえゆくゑもしらぬ恋のみちかも |
| 1072 | おひ風にやへのしほちをゆくふねのほのかにたにもあひみてしかな |
| 1073 | かちをたえゆらのみなとによる舟のたよりもしらぬおきつしほ風 |
| 1074 | しるへせよあとなきなみにこく舟のゆくゑもしらぬやへのしほ風 |
| 1075 | きのくにやゆらのみなとにひろふてふたまさかにたにあひみてしかな |
| 1076 | つれもなき人の心のうきにはふあしのしたねのねをこそはなけ |
| 1077 | なには人いかなるえにかくちはてんあふことなみに身をつくしつゝ |
| 1078 | あまのかるみるめをなみにまかへつゝなくさのはまをたつねわひぬる |
| 1079 | あふまてのみるめかるへきかたそなきまたなみなれぬいそのあま人 |
| 1080 | みるめかるかたやいつくそさほさしてわれにをしへよあまのつり舟 |