巻第十二「恋歌 二」の和歌を一覧にまとめました。
巻第十二|恋歌 二の和歌一覧
| 1081 | したもえにおもひきえなんけふりたにあとなき雲のはてそかなしき |
| 1082 | なひかしなあまのもしほひたきそめてけふりはそらにくゆりわふとも |
| 1083 | こひをのみすまのうら人もしほたれほしあへぬ袖のはてをしらはや |
| 1084 | みるめこそいりぬるいその草ならめ袖さへなみのしたにくちぬる |
| 1085 | 君こふとなるみのうらのはまひさきしほれてのみもとしをふるかな |
| 1086 | しるらめや木の葉ふりしくたに水のいはまにもらすしたの心を |
| 1087 | もらすなよ雲ゐるみねのはつ時雨この葉はしたにいろかはるとも |
| 1088 | かくとたにおもふ心をいはせ山したゆく水の草かくれつゝ |
| 1089 | もらさはやおもふ心をさてのみはえそ山しろの井てのしからみ |
| 1090 | こひしともいはゝこゝろのゆくへきにくるしや人めつゝむおもひは |
| 1091 | 人しれぬこひにわか身はしつめともみるめにうくは涙なりけり |
| 1092 | ものおもふといはぬはかりはしのふともいかゝはすへき袖のしつくを |
| 1093 | 人しれすくるしき物はしのふ山したはふくすのうらみなりけり |
| 1094 | きえねたゝしのふの山のみねの雲かゝる心のあともなきまて |
| 1095 | かきりあれはしのふの山のふもとにもおち葉かうへのつゆそいろつく |
| 1096 | うちはへてくるしきものは人めのみしのふの浦のあまのたくなは |
| 1097 | しのはしよいしまつたひのたにかはもせをせくにこそ水まさりけれ |
| 1098 | 人もまたふみゝぬ山のいはかくれなかるゝ水を袖にせくかな |
| 1099 | はるかなるいはのはさまにひとりゐて人めおもはて物おもはゝや |
| 1100 | かすならぬ心のとかになしはてししらせてこそは身をもうらみめ |
| 1101 | 草ふかきなつ野わけゆくさをしかのねをこそたてねつゆそこほるゝ |
| 1102 | のちのよをなけく涙といひなしてしほりやせましすみそめの袖 |
| 1103 | たまつさのかよふはかりになくさめて後のよまてのうらみのこすな |
| 1104 | ためしあれはなかめはそれとしりなからおほつかなきは心なりけり |
| 1105 | いはぬより心やゆきてしるへするなかむるかたを人のとふまて |
| 1106 | なかめわひそれとはなしに物そおもふ雲のはたての夕くれの空 |
| 1107 | おもひあまりそなたのそらをなかむれはかすみをわけて春雨そふる |
| 1108 | 山かつのあさのさ衣おさをあらみあはて月日やすきふけるいほ |
| 1109 | おもへともいはて月日はすきのかとさすかにいかゝしのひはつへき |
| 1110 | あふことはかた野の里のさゝのいほしのに露ちるよはのとこかな |
| 1111 | ちらすなよしのゝ葉くさのかりにてもつゆかゝるへき袖のうへかは |
| 1112 | 白玉かつゆかとゝはん人もかなものおもふ袖をさしてこたへん |
| 1113 | いつまてもいのちもしらぬ世中につらきなけきのやますもあるかな |
| 1114 | わかこひはちきのかたそきかたくのみゆきあはてとしのつもりぬるかな |
| 1115 | いつとなくしほやくあまのとまひさしひさしくなりぬあはぬ思は |
| 1116 | もしほやくあまのいそやのゆふけふりたつなもくるし思たえなて |
| 1117 | すまのあまの袖にふきこすしほ風のなるとはすれとてにもたまらす |
| 1118 | ありとてもあはぬためしのなとりかはくちたにはてねせゝのむもれ木 |
| 1119 | なけかすよいまはたおなしなとりかはせゝのむもれ木くちはてぬとも |
| 1120 | なみたかはたきつ心のはやきせをしからみかけてせく袖そなき |
| 1121 | よそなからあやしとたにもおもへかしこひせぬ人の袖のいろかは |
| 1122 | しのひあまりおつる涙をせきかへしをさふる袖ようきなもらすな |
| 1123 | くれなゐに涙のいろのなりゆくをいくしほまてと君にとはゝや |
| 1124 | 夢にても見ゆらんものをなけきつゝうちぬるよゐの袖のけしきは |
| 1125 | さめてのち夢なりけりとおもふにもあふはなこりのをしくやはあらぬ |
| 1126 | 身にそへるそのおもかけのきえなゝん夢なりけりとわするはかりに |
| 1127 | 夢のうちにあふとみえつるねさめこそつれなきよりも袖はぬれけれ |
| 1128 | たのめをきしあさちかつゆに秋かけてこの葉ふりしくやとのかよひち |
| 1129 | しのひあまりあまのかはせにことよせんせめては秋をわすれたにすな |
| 1130 | たのめてもはるけかるへきかへる山いくへの雲のうちにまつらん |
| 1131 | あふことはいつといふきのみねにおふるさしもたえせぬ思なりけり |
| 1132 | ふしのねのけふりもなをそたちのほるうへなきものはおもひなりけり |
| 1133 | なき名のみたつたの山にたつ雲のゆくゑもしらぬなかめをそする |
| 1134 | あふことのむなしきそらのうき雲は身をしる雨のたよりなりけり |
| 1135 | わかこひはあふをかきりのたのみたにゆくゑもしらぬそらのうき雲 |
| 1136 | おもかけのかすめる月そやとりける春やむかしの袖のなみたに |
| 1137 | とこのしもまくらの氷きえわひぬむすひもをかぬ人の契に |
| 1138 | つれなさのたくひまてやはつらからぬ月をもめてしありあけの空 |
| 1139 | 袖のうへにたれゆへ月はやとるそとよそになしても人のとへかし |
| 1140 | 夏引のてひきのいとのとしへてもたえぬ思にむすほゝれつゝ |
| 1141 | いく夜われ浪にしほれてきふねかはそてに玉ちる物おもふらん |
| 1142 | としもへぬいのる契ははつせ山おのへのかねのよその夕くれ |
| 1143 | うき身をはわれたにいとふいとへたゝそをたにおなし心とおもはん |
| 1144 | こひしなんおなしうき名をいかにしてあふにかへつと人にいはれん |
| 1145 | あすしらぬいのちをそおもふをのつからあらはあふよをまつにつけても |
| 1146 | つれもなき人の心はうつせみのむなしきこひに身をやかへてん |
| 1147 | なにとなくさすかにおしきいのちかなありへは人や思しるとて |
| 1148 | おもひしる人ありけりのよなりせはつきせす身をはうらみさらまし |