巻第二十「釈教歌」の和歌を一覧にまとめました。
巻第二十|釈教歌の和歌一覧
| 1916 | なをたのめしめちかはらのさせも草わかよの中にあらんかきりは |
| 1917 | なにかおもふなにをかなけく世中はたゝあさかほの花のうへの露 |
| 1918 | 山ふかくとしふるわれもあるものをいつちか月のいてゝゆくらん |
| 1919 | あしそよくしほせの浪のいつまてかうきよの中にうかひわたらん |
| 1920 | 阿耨多羅三藐三菩提のほとけたちわかたつそまに冥加あらせたまへ |
| 1921 | のりの舟さしてゆく身そもろ/\の神もほとけもわれをみそなへ |
| 1922 | しるへある時にたにゆけこくらくのみちにまとへる世中の人 |
| 1923 | 寂寞のこけのいはと(と=屋イ)のしつけきになみたの雨のふらぬ日そなき |
| 1924 | 南無阿弥陀ほとけのみてにかくるいとのをはりみたれぬ心ともかな |
| 1925 | われたにもまつこくらくにむまなれはしるもしらぬもみなむかへてん |
| 1926 | にこりなきかめ井の水をむすひあけて心のちりをすゝきつる哉 |
| 1927 | わたつうみのそこよりきつるほともなくこの身なからに身をそきはむる |
| 1928 | かすならぬいのちはなにかおしからんのりとくほとをしのふはかりそ |
| 1929 | 紫の雲のはやしを見わたせはのりにあふちの花さきにけり |
| 1930 | たにかはのなかれしきよくすみぬれはくまなき月のかけもうかひぬ |
| 1931 | ねかはくはしはしやみちにやすらひてかゝけやせまし法のともし火 |
| 1932 | とくみのきくのしらつゆよるはをきてつとめてきえんことをしそおもふ |
| 1933 | 極楽へまたわか心ゆきつかすひつしのあゆみしはしとゝまれ |
| 1934 | わか心なをはれやらぬ秋きりにほのかに見ゆる在曙の月 |
| 1935 | おく山にひとりうきよはさとりにきつねなきいろを風になかめて |
| 1936 | いろにのみそめし心のくやしきをむなしとゝけるのりのうれしさ |
| 1937 | むらさきの雲ちにさそふことのねにうきよをはらふ峯の松風 |
| 1938 | これやこのうきよのほかの春ならん花のとほそのあけほのゝ空 |
| 1939 | 春秋にかきらぬ花にをくつゆはをくれさきたつうらみやはある |
| 1940 | たちかへりくるしきうみにをくあみもふかきえにこそ心ひくらめ |
| 1941 | いつくにもわかのりならぬのりやあるとそらふく風にとへとこたへぬ |
| 1942 | おもふなようきよの中をいてはてゝやとるおくにもやとは有けり |
| 1943 | わしの山けふきくのりのみちならてかへらぬやとにゆく人そなき |
| 1944 | をしなへてむなしきそらとおもひしにふちさきぬれは紫の雲 |
| 1945 | をしなへてうき身はさこそなるみかたみちひるしほのかはるのみかは |
| 1946 | あさ日さすみねのつゝきはめくめともまた霜ふかしたにのかけ草 |
| 1947 | そこきよく心の水をすまさすはいかゝさとりのはちすをもみん |
| 1948 | さらすとていくよもあらしいさやさはのりにかへつる命とおもはん |
| 1949 | ふかきよのまとうつ雨にをとせぬはうきよをのきのしのふなりけり |
| 1950 | いにしへの鹿なく野辺のいほりにも心の月はくもらさりけん |
| 1951 | みちのへのほたるはかりをしるへにてひとりそいつる夕やみの空 |
| 1952 | 雲はれてむなしきそらにすみなからうきよの中をめくる月哉 |
| 1953 | ふく風にはなたち花やにほふらんむかしおほゆるけふの庭哉 |
| 1954 | やみふかきこのもとことに契をきてあさたつきりのあとのつゆけさ |
| 1955 | けふすきぬいのちもしかとおとろかす入あひのかねの声そかなしき |
| 1956 | 草ふかきかりはのをのをたちいてゝともまとはせる鹿そなくなる |
| 1957 | そむかすはいつれのよにかめくりあひておもひけりとも人にしられん |
| 1958 | あひみてもみねにわかるゝ白雲のかゝるこのよのいとはしき哉 |
| 1959 | をとにきく君かりいつかいきの松まつらんものを心つくしに |
| 1960 | わかれにしそのおもかけのこひしき夢にも見えよ山の葉の月 |
| 1961 | わたつうみのふかきにしつむいさりせてたもつかひあるのりをもとめよ |
| 1962 | うきくさのひとはなりともいそかくれおもひなかけそおきつ白浪 |
| 1963 | さらぬたにをもきかうへにさよころもわかつまならぬつまなかさねそ |
| 1964 | はなのもとつゆのなさけはほともあらしゑいなすゝめそ春の山風 |
| 1965 | うきをなをむかしのゆへとおもはすはいかにこのよをうらみはてまし |
| 1966 | わたすへきかすもかきらぬはし/\らいかにたてけるちかひなるらん |
| 1967 | いまそこれいり日を見てもおもひこしみたのみくにの夕くれの空 |
| 1968 | いにしへのおのへのかねににたるかなきしうつ浪の暁の声 |
| 1969 | しつかなるあか月ことに見わたせはまたふかきよの夢そかなしき |
| 1970 | あふことをいつくにとてかちきるへきうき身のゆかんかたをしらねは |
| 1971 | 玉かけし衣のうらをかへしてそをろかなりける心をはしる |
| 1972 | 夢やゆめうつゝや夢とわかぬかないかなるよにかさめんとすらん |
| 1973 | つねよりもけふのけふりのたよりにやにしをはるかにおもひやるらん |
| 1974 | けふはいとゝなみたにくれぬにしの山おもひいり日のかけをなかめて |
| 1975 | にしへゆくしるへとおもふ月かけのそらたのめこそかひなかりけれ |
| 1976 | たちいらて雲まをわけし月かけはまたぬけしきやそらにみえけん |
| 1977 | むかし見し月のひかりをしるへにてこよひや君かにしへゆくらん |
| 1978 | やみはれて心のそらにすむ月はにしの山へやちかくなるらん |